田中益三・河合 修 編
定価2600円+税
A5判 245頁
2002年5月発売
ISBN 4-915961-02-8
写真・絵などビジュアル資料を多数掲載。新発見の詩・エッセイを収録。詩とその生きた時代を全体的・本格的に捉えた初めての本。『行為こそ希望の代名詞だ』。生きがたい世を生きやすく、面白いこともない世を面白く、それが詩人小熊のライフスタイル。詩人は池袋モンパルナスの一角で、剣呑な「昭和」の時代をペンと絵で切り取り、民衆層のことごとくの声・姿を開示する、その代理人をかってでた。その眼差しは日本のみでなく、『樺太』、『朝鮮』、中国からロシアまで、植民地と圧制の国家を総体として捉える脱国境の複眼をそなえ、それは今も輝きを失わない。小熊秀雄の詩抄と新発見の資料を付し、比類のないその世界を、新たな角度で照射する。
田中益三 (たなか・ますぞう)
法政大学文学部日本文学科出身、同大学同学科の講師、専門は「昭和」全般の文学・演劇・美術・映画など。韓国の慶州大学で「小熊秀雄の『長長秋夜』について」を発表(2001・12・1)。
河合修 (かわい・おさむ)
法政大学法学部法律学科卒業。都立高校教員。小熊関係の論文に「都会の橇人―小熊秀雄を追う」(『朱夏』第14号~16号)がある。
Part 1 小熊秀雄―詩の世界
無神の馬
都会の饑餓
蹄鉄屋の歌
しやべり捲くれ
人生の雑種として
長長秋夜
馬車の出発の歌
無題
Part 2 小熊秀雄の詩とその時代
第1章 詩人の生きた時代
詩人の生きた時代……河合 修
第2章 詩と絵と生活
池袋モンパルナスの夜は更けて……田中益三
小熊つね子のこと……大堀普美子
追いつめられた場所で―小熊秀雄の美術評論を読む……飯野正仁
第3章 身体的思想の行方
小熊秀雄と虚無主義……岡田雅勝
小熊秀雄と社会主義……河合 修
第4章 脱国境の詩人
小熊秀雄と朝鮮― 「長長秋夜」を中心に……磯貝治良
ある野性への回帰 ―「飛ぶ橇」論……田中益三
小熊秀雄と二人の中国留学生……秋吉久紀夫
小熊秀雄とロシア……法橋和彦
第5章 新資料紹介と年譜
『立正大学新聞』と小熊秀雄
新資料について
〔詩〕詩滅亡論に答へて
〔エッセイ〕現代詩論―民衆と共に詩は生きる
〔同〕詩と絵と教養
〔同〕学問の義務と懐疑
小熊秀雄年譜……河合 修せらび書房の単行本